2008年2月12日火曜日

解析手順

これからの解析手順に付いて説明します。ひととおり解析する事を目的として基本モデルを解析してゆきます。
1)金型の平衡温度分布を求めます
金型の初期温度を与え、溶湯の流動を考慮せずにキャビティに瞬時充填させ、溶湯を凝固させます。通常のダイカストでは
射出=>冷却=>型開き=>製品取出し=>スプレー=>エアブロー=>型開き=>型締め
の工程が繰り返し実施されます。解析に於いても、湯流れを計算しないまでも、瞬時充填で代用する事により、この工程を繰り返し実施する事により、金型の平衡に達する温度分布を求める事が出来ます。
2)湯流れ計算
1で求めた平衡金型温度の中を溶湯が充填されてゆきます。この時、溶湯の温度を平衡金型温度との熱のやり取りで計算してゆきます。最終的には充填完了時点での溶湯温度を求める事が目的となります。
ダイカストの場合は、一般的に充填時間は1秒以下の出来事ですので、余り金型温度の変化を考える事無く表面温度で熱流速を決めて計算する事になります。しかし、これより充填の遅い例えば重力鋳造等では、溶湯の充填の共に、金型温度の計算も実施しています。
湯流れ過程では一般的に空気の巻込みが起こります。巻込まれた空気は凝固するとき、ポロシティの核になり欠陥を発生させます。これらは次の凝固解析へと結果が引き継がれます。
3)凝固計算
1で求めた金型平衡温度及び、2で求めた充填完了時の溶湯温度を初期値として、凝固計算を実施します。この凝固計算時にポロシティ(欠陥)の直接予測も実施します。
4)変形解析
3で求めた凝固計算より、製品温度の時間変化が求まります。これを基に製品の変形や発生する応力を予測します。これにより凝固割れ、変形不良等の解析をする事が出来ます。
今回は全体の説明ですが、次回よりその結果に付いて順次示してゆきます。
あくまでも今回示したのは幹の部分ですので、この幹の部分の後に枝葉の部分を説明してゆきます。

2008年1月30日水曜日

メッシュ切り


図に示すのは、CAPCASTでメッシュを切った製品部分と、固定型、鋳抜きピンの部分を示しています。
なんだか変だと思いませんか?製品と固定型の部分でメッシュの大きさが不揃い!?そうなんです。
CAPCASTでは、金型と製品との間を温度マッピングで上手く調整し、このような不揃いなメッシュでも解析できる様になっています。前回有限要素メッシュを、金型、入れ子、冷却、製品など同時にメッシュ切りするのが大変だと書かせてもらいました。
例えば射抜きピンの冷却が有ったとします。これは鋳抜きピンに比べて当然経常的には小さくなります。従って、冷却部分の形状をしっかり出す為には他と比べて、小さな大きさでのメッシュ切りが必要となります。その結果メッシュをそろえる為に、鋳抜きピンの冷却に関係する部分がメッシュが小さくなり、その外にある金型部分のメッシュも小さくなる。こんな縛りがあちこちから発生する。その結果、こんなに詳しくしなくてよい金型のメッシュがどんどん小さくなる。出来上ってみるとメッシュの数が大きくて計算がパンクする。と言った具合でメッシュ修正に頭を悩ます事となります。
不連続メッシュが扱えると、小さな部品は細かく、大きな部品は粗くといったそれぞれに適したサイズでのメッシュ切りが可能で、計算効率も良くなります。

2008年1月28日月曜日

メッシュ切り


CAPCASTを用いて自動メッシュ切りをした結果を示します。CAPCASTは有限要素法を用いたソフトですのでFEMで示されるメッシュを用います。製品ボス部及び射抜き穴部分を示していますが、形状再現性に優れています。
一方差分方ではFDMで示されるメッシュを使用します。ご覧の様にさいころを積み上げた様な形状となります。さいころの大きさをどんどん小さくすれば、それなりに形状再現性は良くなります。
FDM_Hybridと言われるものが有ります。これは、湯流れを計算させる場合FDMメッシュでは流体がごつごつしたサイコロにあたり、なんだか変な流れになりそうな事が予想されます。そこで、ごつごつした部分に四面体(三角錐)を付加し、表面を滑らかに擬装させたものです。しかし、この四面体の部分はFDMより後付けされる場合が多く、当然体積としてはFDMよりも増加する事になります(ご注意を)。
体積比較からすると、やはり形状再現性の良いFEMのモデルが最も良い結果を示すと思われます。
鋳物解析の場合の、メッシュ切りの難しさは、製品部分だけではなく、金型、冷却を含めてメッシュ切りをしなくてはならない事です。CAPCASTでは前段階でのSTLファイルをしっかり作っておけば、比較的簡単に製品、金型、冷却等のメッシュ切りが自動で出来、この工程での時間短縮が図れます。

2008年1月23日水曜日

モデルの確認


さて、3DCADモデルが出来るとこれを用いて、CAPCASTで必要なSTL形式に変換します。STLは空間での3点で一つの三角形を形成し、これを用いて3D立体の表面を表す形式です。今回のモデルは非常に簡単なモデルですから、画像中の単純な三角形の集合体となります。
CAPCASTで使用するSTLには結構厳密なところがあり、面間の隙間、重なり、穴等の不具合を事前に修正対処しておく事が必要です。このために私の所ではMAGICSを使用しています。MAGICSは各種の不具合に付いて検出してくれると同時に、ある程度自動で検出した不具合を修復してくれます。しかし、それでも駄目な時は、やはり力仕事になります。
画像はMAGICSの検証の為の画面です。
修正対処して、正常なSTLになった後、これを基にCAPCASTの自動メッシュ機能を用いて有限要素法のメッシュを作成します。

2008年1月21日月曜日

モデル作成


製品形状及び方案に付いては前回完成しました。これだけでは充填解析のみしか出来ません。凝固解析を実施する為に、金型の部分を作らねばなりません。固定型、可動型をそれぞれブロックで作成し、前回作成した製品及び方案部分からブーリアン演算でくりぬきます。これで代替の型値は出来ました。次にボス部の鋳抜き穴を作成します。鋳抜きピンを作成して、ついでにこの鋳抜きピンの中に冷却部分、またボスの周囲に4カ所冷却を作成しておきます。冷却部分は射抜きピント同じですが、材料設定のときに水を設定します。

2008年1月18日金曜日

モデルの作成


気分一新。
こればかりで申し訳有りません。
今回から、詳細に手順を追って解析を進めたいと思います。

まずモデルを作らねばなりません。当然3Dモデルになります。私の所ではSolidWorksを使っています。どんなモデルにするか?皆さんの所ではお客様からの図面(2次元の紙で書かれたもの、または2DCADデータが多いと思います)を基にして製品図を起こさねばなりません。製品図が出来ると、これを基に素材図の検討に入ります。素材図の段階で所謂ノーハウを織り込んで実際鋳造した場合に欠陥発生が無い様に形状変更、加工部分の設定、方案の検討を行います。
本来CAEはこれらの部分を補完する為のもので、有効に使う事でノーハウの伝承すなわち認識知を集積する為のツールとなります。(この話はまたの機会に)
今回の解析では平板にドッチリしたボスが付いた製品を検討します。ボスが大きいと、この部分で欠陥が発生する事が期待出来ます(!?)。
製品にゲート方案、及びオーバーフローを取付けた、すなわち溶湯が充満してゆく領域を製品部として3DCADで定義します。今回の解析ではスリーブからの充填挙動を解析するのではなく、ビスケット端より溶湯が充填されてゆく解析を実施します。図に製品モデルを示します。

2008年1月17日木曜日

コップ

他の結果表示をしてみましょう。溶湯の温度表示です。コップに移した様等は約90度温度が低下する事が判ります。
コップ壁面からの冷却により、コップ中央部へ向かって冷却が進む様子が見えます。結構温度分布を持っています。
結果を出すのに少し焦ったしまいましたので、次回はもう少し手順詳細で行きましょう。